雪の降る回数が減ってきましたが、冷たい風はまだ吹いています。しかし空気は少しずつ暖かくなってきました。顔を上げて家の裏の丘を眺めると、2本の梅の木が白い小さな花を枝に付け始めていました。花の咲き具合を確かめようと思い、丘を登っているときに、ちょうどウグイスの鳴く声がしました。家の近くの森の中から聞こえた、今年初めての声でした。春の知らせが届いたようで、嬉しい気持ちになりました。まだ寒さは残っていますが、花は咲き始めています。
その週には、いろいろなところで梅まつりが開催されているというニュースを聞きました。若木町でも同じです。「自然体験型 観光梅園 たのしい農家 お百笑さん」は、武雄北中学校へ行く途中の丘の上にあります。ここももうオープンして、梅の花が見られるようになりました。ここで梅の実を買って帰ったことは何度もありましたが、梅まつりに参加したことはありませんでした。やっと今年はここで初めて梅まつりに参加することが出来ました。
梅はタイ語でブアイと言います。2月の中旬から3月の上旬が、梅の花が咲く季節です。今年は例年よりも冬が長かったため、梅の花が咲く時期も少し遅くなったようです。
梅園に着くと、梅の木が整然と列をなしているのが見えました。白い小さな梅の花が、木いっぱいに咲いています。よく見ると、遠くに濃いピンク色の花を付けた梅の木がありました。気になったので、梅園のオーナー、大古場美由紀さんに聞いてみました。ここでは、梅の実を収穫するために育てている木と、花を愛でるための木の両方があるそうです。
「大きな白い花を付けている木は、花びらの真ん中に薄いピンク色の線が入っているでしょう。これは南高梅という品種。実は大きい。小梅と並んで植えてある。小梅の花は小さくて、花びらが5枚ある。小梅の方には木の幹に緑色の布を巻いて、分かるようにしてあるのよ。」
「こんなふうに、複数の品質のものを育てているのには理由があるの。もし1種類のものだけを育てていたら、梅の実がならないから。」大古場さんはそう言って、目の前にあるきれいな梅の木を指差しました。
「見える? 花びらが何枚も重なってるのが。きれいでしょう? これは見た目のきれいさを楽しむための品種で、実はならない。この濃いピンク色の花は紅梅といって、枝の中までピンク色に染まってる。染色にも使えるのよ」
「薄いピンクの花を付けた枝が下がっている。これはしだれ梅。しだれ桜は有名だけど、梅にも似たようなものがあるの。」
なるほど。今日はいろいろなことを勉強しました。それぞれの花は、咲く時期も異なります。梅は2月から咲き始めますが、桜は3月以降になってからです。写真をよく見ても、この2種類の花を見分けることは、なかなか難しいです。やっぱり自分の目で見てみることが大事ですね。それによって分かる、梅と桜、それぞれの美しさがあります。
今日はいい天気です。日差しも暖かい。涼しい風が、梅の香りを運んでくれます。梅の花が咲いているのを眺めたり、座って花について話したりしていると、こうして飲んでいる、梅シロップから作った冷たい梅ジュースの味が、いつにもまして甘くさわやかに感じられました。
名前:ノイ
出身:タイ バンコク
日本人の夫と息子と一緒に、佐賀県武雄市若木町で子育て中。
タイにいたときはアート・出版関係で働いていていました。
九州通訳特区ガイドの資格(タイ語)を持っています。